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clloud thick
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Wow! great view! what a heavy data!

建築空間の体験を、シークエンス上に展開する単なる視覚上の享楽と決定的に違うものにするのは、己の体がその能力・スケールをもとに周囲の空間に投げかける、不均質な意味の網の目のようなものの存在であると感じる。

それは、建築生産上の論理や、構造主義の論理からは到達できないデリケートさを持っている。現代社会の事情などお構いなしに、おそらく進化の過程でわれわれ人間に装備されたと思われる、単なる形態としての空間を本能的に意味のある場所へと翻訳するシステムの論理である。

おおげさな言い方になってしまったけど、どうやら現代建築はこの論理から随分と離れたところに来てしまっているらしく、だからこそ逆に、この論理に接触できている空間と出会うと、その体に馴染む感じは決定的な印象となって記憶されるようである。この記憶は流れない。昨今流行りの空間造形スタイルの競演が、その視覚的な華やかさの割に、体験してみるとどれも同じく記憶に残らず流れさってしまうのと対照的である。

金沢市立玉川図書館も、そんな希有な空間の一つである。低めに押さえられた天井高、そしてなんといっても、書架の森の中央に架けられたブリッジを渡る体験は、この建築全体をつなぎ止める蝶番の役割に相応しい。シンプルな造形の中に着実に「場所」としての変化が与えられている。踊り場に上れば書架の森から頭一つ飛びだして鳥瞰の視界が得られ、さらに折り返すと狭まる空間、そして低めの天井との間の緊張感が、図書館全体の2つのヴォリュームを繋ぐ交通部分としての実質的な緊張感を見事に体験化している。

単純なことだが、この機能と身体感覚の一致は、アルヴァ・アアルトの言う「心理的機能主義」への可能性を感じさせるものがある。

私はいまだに、これを現代建築が将来達成すべき課題の一つであると考えている。

環七の沿道、車の流れを迎えるように斜に構えた鳥居をくぐると、突然緑陰に包まれる。

境内の中央には、どっしりとした2本の大樹が構えている。樹を避けて、微妙に折れつつ伸びてゆく歩路。生い茂った枝葉のつくり出すほの暗さの中に、掃き清められた地面や社の瓦屋根が鈍く輝いている。

「空間をつくろう」などといった作為なしに築かれたであろうこの境内を、人の心の機微に触れるような一つの「空間」にまで高めているものはなんだろうかと考えてみるが、それは2本の大樹の存在と不整形な敷地、そして所与に柔らかく対応する人々の謙譲の精神、それらが織り成した綾の自然な発露にすぎないような気もした。

この建物には、いろいろなことを考えさせられる。

まず要点を整理。

1.初めから意図されたものではなく、当初は校舎と職員宿舎として別々に計画されたものが必要に応じて増改築を施され、成り行きで現在の姿に至っているということ。

2.そしてそういった偶発的とも言える空間が、結果として(少なくとも自分の主観では)現代建築が持ち得ない豊かな多様性と一体感を両立した、極めて人間的なものになっていること。

3.さらに、その空間のよさを図面や写真、他のメディアによって伝えることが極めて難しいということ。

この3つの項目それぞれが、言い切る前に慎重な吟味が必要だとは思う。けれど、自分の中でこの建物と出会った時に生まれた深い共感と評価が、名だたる現代の建築作品を霞ませてしまうほど根源的で確かなものだったことは動かしようがない。

リスボンにあるバイシャ・シアードという地下鉄の駅。

半円のヴォールト、というよりは円形断面に近いトンネル状の空洞が設けられ、下層がプラットホーム、上層がコンコースになっている。

この駅は、不思議と地下の割りに閉塞感を感じない。

ごく単純なことだが、恐れ入るのはこのヴォールトの効果の大きさである。二つのフロアのどこにいても「2フロア分の大きな空間の中に居る」という意識が残る。上方に角がない空間は開放感を高め、照明や改札ゲートやサインなどの要素も、これらの効果の邪魔にならないように配慮されているように見える。

地下に適応して生まれた基本的なトンネルの形をそのまま利用していながら、さりげなく地下鉄駅に求められる心理的な要求までをカバーしているのだから、派手さはないが、少なからず建築家としての姿勢に感銘を受けるものがあった。

空間において、事実としての形態を超えて人の意識の形態を扱うというテーマを考え始めるきっかけをもらった建築でもあった。

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